NPO法人カメネットワークジャパン スタッフブログ/カメら目線

カメネットワークジャパンの活動など、カメ(とカメにかかわる人たち)の目線でいろいろお伝えします。

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2/21  「固有種 ニホンイシガメは今」 セミナーの様子

2月21日月曜日に自然環境情報ひろば 丸の内さえずり館にて、「固有種 ニホンイシガメは今」というタイトルのセミナーが開催されました。スピーカーとして当会代表の小菅と同理事で東大農学特任研究員の小林が招かれ、ニホンイシガメの現状についてお伝えする機会を頂きました。
今回のセミナーは、現在自然環境情報ひろば 丸の内さえずり館で行われている企画展示「カメはつらいよ~忍び寄る外来生物問題」会期中に行われる全3回のセミナーのうち、第1回目でした。
19時~20時頃までニホンイシガメの現状についてお伝えし、その後質疑応答となりました。
参加者は24名で、JR有楽町駅近くとあって、会社帰りの会社員の方が中心でした。
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日本にいるカメのこと、カメがどのような生活をし、どのような場所で生息しているのかなどを始めにお伝えしました。主たる生活の場である河川やその周辺環境の改変や、外来種の移入が日本にもともといるカメ(特に固有種ニホンイシガメ)にどのような影響を与えているのか、わたくしたちの主なフィールドである千葉県の事例を交えながらお伝えしました。
千葉県内で1997年から調査を続けている河川では、2008年にカメの大量死が起こりました。死んでいたカメは近年千葉県内でも分布を拡大、生息数を増やしているアライグマによって捕食されたと考えられます。設置したセンサーカメラで撮影されたアライグマの様子を紹介するなど、最近の調査から明らかになったことについてもお伝えしました。

会場に着くとまずはこちらの大きなイシガメ?がお出迎えです。
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その隣にはカミツキガメの骨格標本。
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会場内にはポスターやパネル展示、
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調査道具などの展示もありました。
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図鑑には載っていない、日本における野外のカメたちの現状についての情報が書かれています。ぜひ会場でじっくりご覧ください。

企画展示「カメはつらいよ~忍び寄る外来生物問題」は、認定NPO法人生態工房さんが企画し、3/30(水)まで開催されています。

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2010/11/15 出張授業を行いました。

昨年11/15に、足立区中川東小学校で出張授業を行いました。

テーマとしてカメを中心にペットを含めた外来種問題をとりあげました。身近なペットが、生物多様性を減少させてしまう一因ともなってしまう現状やその問題に関して国際会議COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が日本で開催されたといった話題を取り上げました。大人でも時には難しい内容ではありますが、普段の授業では触れることがないであろう、研究者による話題、ということであえて取り上げました。

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教頭先生に今回の授業内容などをお伝えしました。
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授業の前には給食もいただきました。
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5年1組にいたミシシッピアカミミガメを見て…
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飼育の仕方などを伝えました。

さて、授業開始です。

小学5年生2クラスをそれぞれ1時限(45分)ずつ、講師は小菅、小林、庭野の3名がそれぞれ行いました。
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まずはカメのからだに関するクイズを小菅、小林それぞれ1問ずつ出しました。
どちらもカメの最大の特徴である甲羅と、その骨に関するクイズでした。

Q1カメの肩甲骨(けんこうこつ)ってどこにある?
自分の肩甲骨や背骨、肋骨(ろっこつ)を触りながら考えてもらいました。

Q2カメが甲羅に頭をひっこめている時、首の骨はどうなってる?
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実際のカメの骨、甲羅をみながら皆さんに正解を予想してもらいました。
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この電子黒板にパソコン内の画像を出力して授業を進めました。

カメについての話を伝えた後、外来種について児童の皆さんにも考えてもらいました。
ペットとして飼われていたさまざまな動物が野外に放逐された結果、さまざまな問題が起こっています。
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日本の野外で見つかっている外来種(カメ)について解説中。
生物多様性についての説明や、研究を紹介したり。熱心に記録をする先生方の姿が印象的でした。
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児童のみなさんにもできることは何でしょう?
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カメのオスメスの見分け方は?
1組、2組にいるカメたちがオスなのか、メスなのか、これで見分けられますね。
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1組にいたミシシッピアカミミガメ
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2組にいたミシシッピチズガメ
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この授業でわかったこと、感想などを書いてもらいました。ちょっと難しい内容だったかな?と思いましたが、皆さんいろいろと考えてくれたようです。
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カメが成長するとかなり大きくなるので驚いた、といったことや教室のカメの雌雄が分かったこと、外来生物が日本にもともといる生き物に影響を与えていること、などについて書いてくれた子が多かったです。


今回、小学校でので出張授業が実現したきっかけはこの小学校の先生である長濱先生が、2010年の5月に都内多摩川支流で行ったアースウォッチ・ジャパン国内プロジェクトに参加してくださったことでした(*調査の様子はこちらです)。5月とはいえ、天候がよく非常に暑い日でしたが、罠かけなどを行っていただきました。先生の熱意もあり、今回このような授業を実現することができました。足立区中川東小学校の先生方、5年生の皆さん、どうもありがとうございました。これからも教室のカメたちをかわいがってくださいね。

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9/4~9/5武蔵野の淡水ガメ 調査の様子

9/4~5にアースウォッチ・ジャパンの国内プロジェクト、『武蔵野の淡水ガメ(旧多摩川の淡水ガメ)』が行われました。

6月、8月に引き続き、都市部の水辺における外来カメ類の侵入と日本固有種の棲息状況を探ることを目的に、東京都練馬区の石神井公園内の三宝寺池で調査を行いました。

河川と違って本調査地のような池では、生息する生き物たちが他所に移動できずに生息しているため、在来種に対する外来種の影響が見えやすいと言えます。そのため、外来種を駆除した際の効果も見えやすいと考えられます。本調査地のような池における外来種の影響を調べていくことは、今後河川での外来種の影響を調べていく際のモデルケースとなることが考えられます。

今回の調査も、石神井公園内の三宝寺池で2007年より外来生物の駆除などの活動を行っている認定NPO法人生態工房さんにご協力いただきました。

認定NPO法人生態工房のスタッフの方たちは、調査期間中、公園の来訪者の方に外来種の駆除活動について理解を深めていただくために、捕獲された生き物をプラケースに入れて展示し説明をしたり、パネルを出したりするなどの啓発活動も行っていました。
わたくしたちも、ボートから作業道具や捕獲できたカメなどを引き上げる際に、来訪者の方々に何をしているのか尋ねられることが多々ありました。来訪者の方々の関心の高さがうかがえました。作業に支障がない範囲で、わたくしたちも来訪者の方の質問にできるだけ答えるようにしました。
来訪者の方の多くが、捕獲されたカメの多さに驚かれていましたが、中にはこの駆除活動をご存知の方もいらっしゃいました。認定NPO法人生態工房さんの2007年からの活動が確実に実を結んでいることがうかがえる出来事でした。

生態工房さんが設置しているパネルの前で
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調査の手順は下記の通りです。
1日目、2日目ともに:
午前中~仕掛けてある捕獲用のかごを引き上げ、捕獲されているカメなどを回収し、再び餌を入れて仕掛け直します。
昼食後~捕獲場所、捕獲数、種構成、雌雄比、体サイズ構成などの測定・記録を行い、外来種は池へ戻さず、在来種だけを元いた場所へ返します。

それでは実際の調査の様子をお伝えします。
9/4は、アースウォッチ・ジャパンのボランティアの方が3名、スタッフ6名、9/5はースウォッチ・ジャパンのボランティアの方が2名、スタッフ5名で調査を行いました。

9月に入ったとはいえ、この日も真夏のような暑さでした。
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できるだけ涼しい時間に池での作業を行おう、ということで自己紹介や作業手順、作業上の注意をお伝えした後で早速カメ罠の回収作業へ向かいました。

今回も3艇のボートで作業をしました。
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池での作業は、遮るものもなく水面からの照り返しもあって非常に暑いため、水分補給をしながらの作業となりました。
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小さめのスッポンが捕獲できました。
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カメ罠に入った個体を回収し、餌を入れ替えて再度カメ罠を仕掛け直しました。
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2日目には大きなイシガメが入っていました。
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普段は三宝寺池でボートに乗ることはできません。また、浮島に入ることもできません。調査中は特別に、ということで浮島へ上陸しました。
ボートから見た浮島の様子。
0905-8この浮島は都の天然記念物に指定されています。コウホネや、寒冷地にしか生息しないと言われているミツガシワの群落を見ることができます。両方とも湿地などで見られる植物です。
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強い日差しも浮島内では少し和らぎます。あんまり気持ちがよいので思わず記念撮影。
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昼食の後、レクチャーが始まりました。
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野外のカメたちの生態や、河川の護岸や、外来種による影響などについてお伝えしました。
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ボランティアの方々からは、様々な質問が出されました。カメの生態については、まだまだわかっていないことが多く、こういった一般の方からの質問で気付かされることが多々あります。今後も調査・研究を続けて、カメの生態を明らかにしていくことで、在来のカメ類やカメたちをとりまく様々な生き物が暮らす環境の保全に役立てていければと考えています。

レクチャーの後、捕獲したカメの体のサイズなどの測定に入りました。
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二人ひと組で、スタッフが測定し、ボランティアの方には記録をお願いしました。
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種類、雌雄、年齢、個体識別番号などを記録していきます。
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測定する項目は背甲長・背甲幅・腹甲長・体重です。
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今回大小2匹のスッポンが捕獲できましたが、その測定の様子はというと…
まずは小さめの個体です。
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なんとかノギスで背甲長などを測定することができました。
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スッポンの首の伸びる様子を観察。この後しばらく軍手を放してくれませんでした。甲羅が柔らかいためスッポンを測定することは容易ではありません。首もこれだけ伸びるので、頭から遠い、甲羅の後ろの方をしっかりつかみます。
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小さい個体はノギスで測定できましたが、大きい個体になると、そうはいきません。
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地面に押さえつけて背甲長を測定。
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腹甲長もなんとか測定できました。
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体重は袋に入れて測定です。なんと5キロ以上ありました。
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この2日間で捕獲されたカメ類は
・クサガメ68個体
・ニホンイシガメ4個体
・ミシシッピアカミミガメ4個体
・スッポン4個体 
合計80個体でした。
カミツキガメや、ほかの外来種は捕獲されませんでした。
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2007年から認定NPO法人生態工房さんがこの池で外来種の駆除を始めた当時はミシシッピアカミミガメが鈴なりになって甲羅干しをしている姿が見られたそうですが、この夏(6月、8月、9月)に行った調査ではそのような姿は全く見られませんでした。このことは、認定NPO法人生態工房さんがこれまで続けてこられた活動の成果の表れだと思います。しかし、池のミシシッピアカミミガメをすべて除去できたわけではなく、この調査の結果が示すように、まだ数個体とはいえ、捕獲が続いています。

一度外来種を野外へ放してしまうとたくさんの労力をかけないと取り除くことができないということがよくわかった調査でもありました。

もともとペットのアカミミガメがこの池に棲むようになったきっかけの多くは、飼い主が責任を放棄して捨てたためでしょう。今後もカメ捨て行為が続くとすると、その影響を防ぐためにはこれからもずっと労力をかけ続けなければなりません。直接外来種を取り除く作業だけでなく、ペットとして飼育している外来種(生物)を野外へ放さないよう伝えていくこと、その根拠となる外来種の影響についても地道に伝えていく啓発活動が非常に大切であることを強く感じました。

特に、駆除作業がどれだけ大変かということを身を持って実感していただけたボランティアの方々にはぜひとも周りの方々にその様子または今回の内容をお伝えしてほしいなと思いました。このブログを読まれた方たちにもこういった活動の様子を周りの方にお伝えしてほしいと願わずにはいられません。
また、わたくしたちもこのブログやホームページなどで活動の様子などの情報をみなさんにお伝えしていきたいと思います。
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*本ブログ記事制作・公開にあたって、参加者の皆様から写真掲載の了承をいただいおります。ご協力いただき、ありがとうございました。

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8/21~8/22武蔵野の淡水ガメ 調査の様子

8/21~8/22にアースウォッチ・ジャパンの国内プロジェクト、『武蔵野の淡水ガメ(旧多摩川の淡水ガメ)』が行われました。

6月に引き続き、都市部の水辺における外来種の侵攻と日本固有種の現状を探ることを目的に、東京都練馬区の石神井公園内の三宝寺池で調査を行いました。

本調査地を含む武蔵野地域の水辺では、これまでも行政やNPO法人によってカメ類の調査や試験駆除が行われてきました。本プロジェクトはその一環として位置づけられ、カメ類と他の生物の関係性を探り、多様な生物を維持する環境や在来カメ類の保全を目指した提案を目的とするものです。

河川と違って本調査地のような池では、生息する生き物たちが他所に移動ができず高密度に生息しているため、在来種に対する外来種の影響が見えやすいと言えます。そのため外来種を駆除していった効果も表れやすいと考えられます。今後河川で外来種の影響を調べていく際のモデルケースとなることが考えられます。


今回の調査も、2007年より外来生物の駆除などの活動を行っている認定NPO法人生態工房さんにご協力いただきました。
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公園来訪者の方に見てもらうために作られた生態工房さんのポスター。外来種についてわかりやすく説明されています。
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公園内に設置している看板。ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)、カミツキガメについても書かれています。

調査の手順は下記の通りです。
1日目:捕獲用のかごをボートやフローターを用いて仕掛けていきます。
2日目:1日目に仕掛けた捕獲用のかごを回収し、捕獲場所、捕獲数、種構成、雌雄比、体サイズ構成などの測定・記録を行い、外来種は池へ戻さず、在来種だけを元いた場所へ返します。

それでは実際の調査の様子をお伝えします。
初日8/21は、アースウォッチ・ジャパンのボランティアの方が5名、スタッフ4名で調査を行いました。
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自己紹介のあと、調査概要、本調査地での留意点などをお伝えし、実際の作業に入りました。
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池の中を移動するため、ボートに乗り込みます。
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捕獲用のかごをボートに乗りながら組み立て、仕掛けていきます。
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捕獲用のかごはこのようにタライに入れ、船でけん引していきます。

途中、池の中に浮かぶ島へ上陸。通常、一般の人は入ることができません。朽ちた植物が堆積してできた島であるため、島内には木道が設置されています。この夏は晴天が続いたためなのか、6月に比べると植物が繁茂し、土がかなり乾燥していました。
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この日も午前中から30℃を超えていましたが、浮島に上陸すると風が心地よく感じられました。
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お昼をはさんで、カメに関するレクチャーが行われました。
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本物のカメの甲羅(手にしているのはカミツキガメのもの)を見ながら、カメの体の構造などを説明中。
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首をひっこめているとき、首の骨はどんなふうに折りたたまれるのでしょう?
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こんどは頭の骨を観察中。
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さて、カメの脳はどこにあるのでしょうか?
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こんなふうに、研究者と直接話ができるのが、アースウォッチ・ジャパンのプロジェクトの魅力なようです。研究者自身も、これまで当たり前と思っている事柄についてまだ研究できていないことに気づかされることが多いようです。
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捕獲用のかごを仕掛けた場所を記録しつつ…
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浮島の周りを中心に仕掛けていきました。
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午後には予定していたすべての捕獲用のかごを仕掛け終えました。

2日目は1日目に引き続き参加してくれた方が2名と、6月に参加してくれた方が1名、ということで、自己紹介の後、早速捕獲用のかごを回収することとなりました。
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午前中には30個近くあったすべてのかごを回収できました。
午後からは捕獲したカメの種類、雌雄比、体サイズ構成などの測定・記録を行いました。
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2人ひと組で、スタッフが測定を行い、ボランティアの方に記録をお願いしました。
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測定に使う道具はこちら。他に体重を測る器具もあります。
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このクサガメは黒化していますね。オスですね。
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ノギスを甲羅にあてて背甲長を測定中。
甲羅のどの部分を測定するのかは、カメネットワークジャパン公式サイトのこちらのページをご覧ください。

背甲長・背甲幅・腹甲長・体重などを測定していきますが、どうしてそのような測定作業が必要なのでしょうか。一般にカメ類は寿命が長いため繁殖が不可能な状況であっても成体だけが存在している集団もあると想定されます。カメが生息する環境の保全を考える上では、現時点でカメがいると記録することも必要ですが、注目すべきポイントは、カメが集団として、今後も存続できるか否かという点です。
そこで、測定値より齢構成や背甲長分布などを解析することが重要です。

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測定した値だけでなく、その個体の特徴(キズなど)も記録していきます。
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個体識別番号も大切な情報です。
6月の調査で捕獲された個体が今回も多数再捕獲されました。そのうち、頭部に傷を負った個体がいました(釣り針によるもの?)。この個体は6月から8月の間に傷を負ったことが分かります。
個体識別をしておくことで長期間その個体の状態を記録していくことができます。
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体重などすべての測定を終えた個体は、このように写真で記録しておきます。

この2日間で捕獲されたカメ類は
・クサガメ51個体
・ニホンイシガメ2個体
・ミシシッピアカミミガメ5個体
・スッポン3個体 
・ミナミイシガメ1個体
・ミナミイシガメとクサガメの雑種1個体
合計63個体でした。
このうち、少なくともミシシッピアカミミガメ、ミナミイシガメは、人間によって持ち込まれた外来種です。
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左からクサガメ、ミナミイシガメ、ミナミイシガメとクサガメの雑種です。
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ミナミイシガメとクサガメの雑種
本調査地は住宅街に囲まれており、地域住民のレクレーションの場として活用されるなど、訪れる人が多い場所です。人口も多く、水辺へのアプローチが容易なため、飼育動物(ペット)が遺棄されやすい環境といえます。
今回見つかったミナミイシガメとクサガメの雑種のように、外来種の遺棄は日本の在来種と交雑することで、純粋な在来種がいなくなってしまうなどの事態を招きかねません。

この2日間で捕獲されたカメ類は、6月と同様ミシシッピアカミミガメが非常に少ないという結果となりました。2007年から行われてきた外来種をのぞいていくという地道な調査・研究活動によって、外来種の割合を減少できたことは、今後、本来この池に生息していた在来種の生息が回復するきっかけとして期待が持てる成果であると考えられます。

今後も調査を行うことで、在来種が回復していく裏付けであるデータを蓄積していき、水辺に暮らす多様な生物を維持する環境や、在来カメ類の保全を目指した提案をしていきたいと思います。
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*本ブログ記事制作・公開にあたって、参加者の皆様から写真掲載の了承をいただいおります。ご協力いただき、ありがとうございました。



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6/26~27 武蔵野の淡水ガメ 調査の様子

6/26~27にアースウォッチ・ジャパンの国内プロジェクト、『武蔵野の淡水ガメ(旧多摩川の淡水ガメ)』が行われました。

実際の活動の様子に入る前に、いくつかお伝えしたいことがあります。

●調査地変更について
 昨年の夏同様、都市河川における外来種の侵入と日本固有種の現状を把握するため、5月に続き6月も多摩川の支流でカメ類の調査をする予定でした。しかし、5月の調査終了後、6月の調査地を急遽変更する決断をしました。突然の変更により、参加者およびアースウォッチ事務局の皆様には大変ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。変更した理由は以下の事態によるものです。
 5月の調査、2日目。カメ捕獲用のかごを回収していると、調査地周辺の住民の鳥類愛好家の男性に呼び止められました。男性いわく、「カイツブリの営巣の時期に水際付近の藪の中に入って調査を行ったため、カイツブリが巣を放棄してしまった。いますぐ調査をやめてほしい」との事。

 わたくしたちはカメ類の調査を通じて、外来のカメ類(ミシシッピアカミミガメ・カミツキガメ)をはじめとする外来生物を取り除くことで、カメ類だけでなく、この河川(多摩川支流)周辺の本来の生物種の回復を目標としています。外来生物を在来生物への影響を評価せずに放置することは、負の影響があった場合に影響を深刻化、長期化させることにつながりかねません。例えば国際自然保護連合(IUCN)で世界の侵略的外来生物ワースト100リストに載るアカミミガメ類は、カイツブリのヒナを襲った事例も知られており、きちんとした根拠に基づく影響評価が望まれています。そこで男性にもこのような調査の意義・目的を説明し、ゾーンニング(営巣場所付近では罠調査を行わない)などの調査による影響を最小限にすることで活動への理解をお願いしましたが、男性は「鳥だけでいいんだ、カメなんてそこらじゅうにいるじゃないか…」と、大変憤慨しておられ、建設的な和解を求めていないことが分かりました。
 そこでわたくしたちは、男性の理解が得られぬまま6月の調査を実施した場合、物理的、時間的に調査に支障が生じ健全なプロジェクト遂行が困難になるリスクを考え、調査地を変更する決断をいたしました。

●プロジェクトの目的・意義
 調査地を多摩川流域の都市河川から、武蔵野地域内の水辺へと変更いたしましたが、都市部の水辺における外来種侵攻と日本固有種の現状を把握するという目的に変わりはありません。
日本では古くから田んぼや小川に棲むカメを飼って遊ぶなどの文化がありましたが、現在では野生のカメをほとんど目にする機会が減ってしまったため、カメとのかかわりを持つとなるとペットショップや他地域から連れてくるという形が主流となりました。
 ミシシッピアカミミガメ(商品名:ミドリガメ)はペットとして最も人気がある外国産カメ類です。しかし、成長すると20センチ以上まで大きく成長するため、手に負えなくなって捨てられる例が後を絶ちません。
あるアンケートによると日本国内の野外で見られたカメのうち、6割以上がミシシッピアカミミガメであることが分かりました。

 外国産のカメ類による影響は、移動が可能な河川よりも、池などの閉鎖された環境のほうが顕著に表れる可能性があります。今回の調査地のような都市近郊の池は、捨てられる外国産カメ類が多いため、自然の水辺で起こっている、もしくは今後起こりうる生物同士の関係性を理解するために重要なシステムといえます。本調査地も住宅街に囲まれており、地域住民のレクレーションの場として活用されるなど、訪れる人が多い場所です。人口も多く、水辺へのアプローチが容易なため、飼育動物(ペット)が遺棄されやすい環境といえます。
 本調査地を含む武蔵野地域の水辺では、これまでも行政やNPO法人によってカメ類の調査や試験駆除が行われてきました。本プロジェクトはその一環として位置づけられ、カメ類と他の生物群集の関係性を探り、多様な生物を維持する環境や在来カメ類の保全を目指した提案を目的とするものです。


●調査方法
1日目:捕獲用のかごをボートやフローターを用いて仕掛けていきます。
2日目:1日目に仕掛けた捕獲用のかごを回収し、捕獲場所、捕獲数、種構成、雌雄比、体サイズ構成などの測定・記録を行い、外来種は池へ戻さず、在来種だけを元いた場所へ返します。

それでは実際の調査の様子をお伝えします。

初日、自己紹介の後、調査地変更の経緯、今回の調査の意義・目的、調査手順などをアースウォッチ・ジャパンのボランティアの方にお伝えしました。
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今回の調査地では、2007年より外来生物の駆除などの活動を行っている認定NPO法人生態工房さんにご協力いただきました。生態工房の片岡さんより、本調査地での調査時の留意点などを説明していただきました。
生態工房さんのポスター↓
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今回の調査では、ボートとフローターという移動手段を使って捕獲用のかごを仕掛けていきました。
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こちらがフローター。胴長の上からフィンをつけて後ろ向きに進みます。
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ボート類を池まで運んで、捕獲用のかごはタライに入れてけん引して仕掛けるポイントまで運びます。
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優雅に見えますが、推進力はバタ足なので、実は大変なのです。
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ボートの上で捕獲用のかごに餌などを入れてセッティングして仕掛けていきました。
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池に浮かぶ島の周辺を中心に仕掛けていきました。
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水深が浅く、ボートで近寄れないところはフローターで近づきました。
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池の中に浮かぶ島へ上陸。
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通常、一般の人は入ることができないこの場所は、朽ちた植物が堆積してできた島。そのため木道が設置してあります。踏み外すと底なしです。コウホネやミツガシワなどの水生植物などが見られます。
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東京23区内とは思えないような光景。
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昔は木材を燃料として使用していたため、人の手が入っていましたが、近年では下草刈りなどが行われなくなったため、乾燥化が進んでいるそうで、それを食い止めるために定期的に草刈りなどをしているそうです。

昼休みを兼ねて、日本のカメの現状や、外来種問題、特にカミツキガメに関するレクチャーが行われました。
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 本調査地で認定NPO法人生態工房さんによる外来種の駆除活動が始まったのは2007年でした。それまではミシシッピアカミミガメが鈴なりに甲羅干しをしている姿がみられていました。
 2000年に入り、カミツキガメの目撃情報が入るようになりました。2005年2006年には大きなカミツキガメの成体が目撃され、ここを訪れる市民に危険が及ぶ可能性がある、ということで外来生物であるカミツキガメの駆除活動が始まりました。カミツキガメの駆除と同時に他の外来生物(ミシシッピアカミミガメやブルーギル、ウシガエルなど)の駆除も行いました。
 その結果、2007年には130匹捕獲されていたアカミミガメは2009年には29匹、カミツキガメは28匹から5匹にまで減少したそうです。

カミツキガメの本物の甲羅を見ながら、カメの甲羅の構造などを説明しています。
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午後も捕獲用のかごをすべて仕掛けて、初日の作業は終了となりました。

2日目、捕獲かごを回収して、いよいよカメたちとご対面です。
前日と同じようにボートとフローターに乗り込んで、かごを回収していきます。
なんと、初捕獲となるニホンイシガメが見つかりました。
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まだ幼いクサガメ。
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大きなスッポンも捕獲されました。
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今回捕獲されたニホンイシガメはまだ2歳の個体であったことから、自然に繁殖していることがうかがえます。都内でニホンイシガメが繁殖している池というのはとても貴重ではないでしょうか。
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捕獲されたカメたち。
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捕獲されたカメたちの雌雄、体のサイズなどの測定・記録を行いました。

この2日間で捕獲されたカメ類は
・クサガメ29個体
・ニホンイシガメ1個体
・ミシシッピアカミミガメ3個体
・スッポン1個体
・イシガメとクサガメの雑種2個体

イシガメとクサガメの雑種
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そのほかの外来生物としては、
ライギョ、ブルーギル、アメリカザリガニを捕獲しました。
今回捕獲された生き物のうち、在来種だけを元の場所に返しました。
0627-11

 この2日間で捕獲されたカメ類は、ミシシッピアカミミガメはクサガメよりも少ないという結果となりました。本調査地の池では、ほんの10年ほど前までは、全国の都市河川や池などと同じようにミシシッピアカミミガメが鈴なりに甲羅干しをしている姿がみられました。2007年から行われてきた外来種をのぞいていくという地道な調査・研究活動によって、外来種の割合を減少できたことは、今後、本来この池に生息していた在来種の生息が回復するきっかけとして期待が持てる成果であると考えられます。
 今後も調査を行うことで、在来種が回復していく裏付けであるデータを蓄積していき、多様な生物を維持する環境や、在来カメ類の保全を目指した提案をしていきたいと思います。
0627-09

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