NPO法人カメネットワークジャパン スタッフブログ/カメら目線

カメネットワークジャパンの活動など、カメ(とカメにかかわる人たち)の目線でいろいろお伝えします。

2010年06月 | ARCHIVE-SELECT | 2010年08月

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6/26~27 武蔵野の淡水ガメ 調査の様子

6/26~27にアースウォッチ・ジャパンの国内プロジェクト、『武蔵野の淡水ガメ(旧多摩川の淡水ガメ)』が行われました。

実際の活動の様子に入る前に、いくつかお伝えしたいことがあります。

●調査地変更について
 昨年の夏同様、都市河川における外来種の侵入と日本固有種の現状を把握するため、5月に続き6月も多摩川の支流でカメ類の調査をする予定でした。しかし、5月の調査終了後、6月の調査地を急遽変更する決断をしました。突然の変更により、参加者およびアースウォッチ事務局の皆様には大変ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。変更した理由は以下の事態によるものです。
 5月の調査、2日目。カメ捕獲用のかごを回収していると、調査地周辺の住民の鳥類愛好家の男性に呼び止められました。男性いわく、「カイツブリの営巣の時期に水際付近の藪の中に入って調査を行ったため、カイツブリが巣を放棄してしまった。いますぐ調査をやめてほしい」との事。

 わたくしたちはカメ類の調査を通じて、外来のカメ類(ミシシッピアカミミガメ・カミツキガメ)をはじめとする外来生物を取り除くことで、カメ類だけでなく、この河川(多摩川支流)周辺の本来の生物種の回復を目標としています。外来生物を在来生物への影響を評価せずに放置することは、負の影響があった場合に影響を深刻化、長期化させることにつながりかねません。例えば国際自然保護連合(IUCN)で世界の侵略的外来生物ワースト100リストに載るアカミミガメ類は、カイツブリのヒナを襲った事例も知られており、きちんとした根拠に基づく影響評価が望まれています。そこで男性にもこのような調査の意義・目的を説明し、ゾーンニング(営巣場所付近では罠調査を行わない)などの調査による影響を最小限にすることで活動への理解をお願いしましたが、男性は「鳥だけでいいんだ、カメなんてそこらじゅうにいるじゃないか…」と、大変憤慨しておられ、建設的な和解を求めていないことが分かりました。
 そこでわたくしたちは、男性の理解が得られぬまま6月の調査を実施した場合、物理的、時間的に調査に支障が生じ健全なプロジェクト遂行が困難になるリスクを考え、調査地を変更する決断をいたしました。

●プロジェクトの目的・意義
 調査地を多摩川流域の都市河川から、武蔵野地域内の水辺へと変更いたしましたが、都市部の水辺における外来種侵攻と日本固有種の現状を把握するという目的に変わりはありません。
日本では古くから田んぼや小川に棲むカメを飼って遊ぶなどの文化がありましたが、現在では野生のカメをほとんど目にする機会が減ってしまったため、カメとのかかわりを持つとなるとペットショップや他地域から連れてくるという形が主流となりました。
 ミシシッピアカミミガメ(商品名:ミドリガメ)はペットとして最も人気がある外国産カメ類です。しかし、成長すると20センチ以上まで大きく成長するため、手に負えなくなって捨てられる例が後を絶ちません。
あるアンケートによると日本国内の野外で見られたカメのうち、6割以上がミシシッピアカミミガメであることが分かりました。

 外国産のカメ類による影響は、移動が可能な河川よりも、池などの閉鎖された環境のほうが顕著に表れる可能性があります。今回の調査地のような都市近郊の池は、捨てられる外国産カメ類が多いため、自然の水辺で起こっている、もしくは今後起こりうる生物同士の関係性を理解するために重要なシステムといえます。本調査地も住宅街に囲まれており、地域住民のレクレーションの場として活用されるなど、訪れる人が多い場所です。人口も多く、水辺へのアプローチが容易なため、飼育動物(ペット)が遺棄されやすい環境といえます。
 本調査地を含む武蔵野地域の水辺では、これまでも行政やNPO法人によってカメ類の調査や試験駆除が行われてきました。本プロジェクトはその一環として位置づけられ、カメ類と他の生物群集の関係性を探り、多様な生物を維持する環境や在来カメ類の保全を目指した提案を目的とするものです。


●調査方法
1日目:捕獲用のかごをボートやフローターを用いて仕掛けていきます。
2日目:1日目に仕掛けた捕獲用のかごを回収し、捕獲場所、捕獲数、種構成、雌雄比、体サイズ構成などの測定・記録を行い、外来種は池へ戻さず、在来種だけを元いた場所へ返します。

それでは実際の調査の様子をお伝えします。

初日、自己紹介の後、調査地変更の経緯、今回の調査の意義・目的、調査手順などをアースウォッチ・ジャパンのボランティアの方にお伝えしました。
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今回の調査地では、2007年より外来生物の駆除などの活動を行っている認定NPO法人生態工房さんにご協力いただきました。生態工房の片岡さんより、本調査地での調査時の留意点などを説明していただきました。
生態工房さんのポスター↓
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今回の調査では、ボートとフローターという移動手段を使って捕獲用のかごを仕掛けていきました。
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こちらがフローター。胴長の上からフィンをつけて後ろ向きに進みます。
0626-02b
ボート類を池まで運んで、捕獲用のかごはタライに入れてけん引して仕掛けるポイントまで運びます。
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優雅に見えますが、推進力はバタ足なので、実は大変なのです。
0626-03b
ボートの上で捕獲用のかごに餌などを入れてセッティングして仕掛けていきました。
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池に浮かぶ島の周辺を中心に仕掛けていきました。
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水深が浅く、ボートで近寄れないところはフローターで近づきました。
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池の中に浮かぶ島へ上陸。
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通常、一般の人は入ることができないこの場所は、朽ちた植物が堆積してできた島。そのため木道が設置してあります。踏み外すと底なしです。コウホネやミツガシワなどの水生植物などが見られます。
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東京23区内とは思えないような光景。
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昔は木材を燃料として使用していたため、人の手が入っていましたが、近年では下草刈りなどが行われなくなったため、乾燥化が進んでいるそうで、それを食い止めるために定期的に草刈りなどをしているそうです。

昼休みを兼ねて、日本のカメの現状や、外来種問題、特にカミツキガメに関するレクチャーが行われました。
0627-01
 本調査地で認定NPO法人生態工房さんによる外来種の駆除活動が始まったのは2007年でした。それまではミシシッピアカミミガメが鈴なりに甲羅干しをしている姿がみられていました。
 2000年に入り、カミツキガメの目撃情報が入るようになりました。2005年2006年には大きなカミツキガメの成体が目撃され、ここを訪れる市民に危険が及ぶ可能性がある、ということで外来生物であるカミツキガメの駆除活動が始まりました。カミツキガメの駆除と同時に他の外来生物(ミシシッピアカミミガメやブルーギル、ウシガエルなど)の駆除も行いました。
 その結果、2007年には130匹捕獲されていたアカミミガメは2009年には29匹、カミツキガメは28匹から5匹にまで減少したそうです。

カミツキガメの本物の甲羅を見ながら、カメの甲羅の構造などを説明しています。
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午後も捕獲用のかごをすべて仕掛けて、初日の作業は終了となりました。

2日目、捕獲かごを回収して、いよいよカメたちとご対面です。
前日と同じようにボートとフローターに乗り込んで、かごを回収していきます。
なんと、初捕獲となるニホンイシガメが見つかりました。
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まだ幼いクサガメ。
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大きなスッポンも捕獲されました。
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今回捕獲されたニホンイシガメはまだ2歳の個体であったことから、自然に繁殖していることがうかがえます。都内でニホンイシガメが繁殖している池というのはとても貴重ではないでしょうか。
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捕獲されたカメたち。
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捕獲されたカメたちの雌雄、体のサイズなどの測定・記録を行いました。

この2日間で捕獲されたカメ類は
・クサガメ29個体
・ニホンイシガメ1個体
・ミシシッピアカミミガメ3個体
・スッポン1個体
・イシガメとクサガメの雑種2個体

イシガメとクサガメの雑種
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そのほかの外来生物としては、
ライギョ、ブルーギル、アメリカザリガニを捕獲しました。
今回捕獲された生き物のうち、在来種だけを元の場所に返しました。
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 この2日間で捕獲されたカメ類は、ミシシッピアカミミガメはクサガメよりも少ないという結果となりました。本調査地の池では、ほんの10年ほど前までは、全国の都市河川や池などと同じようにミシシッピアカミミガメが鈴なりに甲羅干しをしている姿がみられました。2007年から行われてきた外来種をのぞいていくという地道な調査・研究活動によって、外来種の割合を減少できたことは、今後、本来この池に生息していた在来種の生息が回復するきっかけとして期待が持てる成果であると考えられます。
 今後も調査を行うことで、在来種が回復していく裏付けであるデータを蓄積していき、多様な生物を維持する環境や、在来カメ類の保全を目指した提案をしていきたいと思います。
0627-09

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